分からない
ヤマト✕うるティ。
ちょっとうるティが重いかも。
無自覚にヤマトを想ううるティの話。n番煎じ感モリモリ。
実は一人称視点のSS書くの初めてだし久々に書くから文章がめちゃくちゃなのだ……ポロッ
筆が進めばヤマト視点も書きたいのだ。
ヤマトに抱かれた。
その行為に愛があったのか私には分からない。
あの夜、あいつは私の部屋にずかずか入り込んで来てこう言った。
「僕、きみとまぐわってみたいんだ!」
屈託ない笑顔で、とんでもないことを言う。
「ハァ?お前、頭おかしいんじゃねーの?」
内心、動揺していた。
周りがそうだと思い込んでいるだけで、私は処女だった。
一般的に見れば、処女であってもおかしくない年齢だが、私は海賊だ。
海賊の普通なら、私よりもっと若いときに処女を失っている女が殆どなのだろう。
抱かれる?しかも、ヤマトに?
突然の事に、心臓がバクバク鳴る。
それが恐怖なのか、期待なのか、興奮なのか分からかった。
「ねぇ、うるティ。駄目かな?」
ヤマトは軽くかがんで、私の顔を覗き込む。
暗闇に佇む獣の目のように、金色に光る目に私が映る。
認めたくないが、こいつは本当に美人だ。
カイドウの娘なんかじゃなく、いつもの奇行も無ければ、その美貌を活かして何でもこいつはやっていけただろう。
金剛石の瞳に吸い込まれそうになる。
ふと、魔が差した。
〝こいつになら、抱かれてみてもいいかも〟
今思えば、吐くほどに気持ち悪い思考回路だったと思う。
でもその時は、自然とその答えが出た。
マスクを外すと、ヤマトの両頬を掴んで私はヤマトにキスした。
目を瞑っていたから、ヤマトがその時どんな表情をしていたのか分からない。
ヤマトも私もどうしたら良いか分からず、お互い息が苦しくなるまで、唇を合わせていた。
そうしていると、ゆっくりヤマトが私を抱きしめてきた。
頭の中にじわじわ熱が溜まってくる。
どうしようもない程に、何かの感情でいっぱいになって、我慢できなくなって。
ぐい、とヤマトの着物を引っ張り後ろのベッドに倒れ込んだ。
そのまま、私達は男女のする行為をした。
正直、痛かった。
お互い初めてで何も分からない事だらけ。
失敗するのが当たり前だ。
でも、行為が終わったあと私は不思議と満ち足りた気分だった。
疲れたし、痛いし、暑いし、最悪な事だらけだったのに。
その時の私は、幸せだったんだと思う。
でも、一番わからないことがあった。
私は、隣で裸のまま寝転ぶヤマトに聞いた。
「おい。」
「ん…。何?うるティ。」
「なんで、いきなり私を抱くなんて言ったんだよ?」
ヤマトはぱちくり、と大きな目を動かす。
そして、すぐに嬉しそうな笑顔になる。
「なんでって、決まっているだろう?」
次のヤマトの言葉に、少しだけ期待した。
「僕が目指すのは光月おでん!おでんは男だから、僕もこういう経験をしたらもっと彼に近づけると思ったんだ!」
息が、一瞬止まった。
私は、何を期待してたんだろうか。
私は、ヤマトが何と答えるのを望んでたんだろうか。
途端に今までの事が馬鹿らしくなって、気持ち悪くなって。
布団をかぶって、私は夢の中に逃げた。
きっと、誰でもよかったんだ。
ヤマトは、たまたま私がいたから、私を抱くと言ったんだ。
遊郭の女共でも、ギフターズとかの誰かでも。
たまたま、私が目に入って、私を選んだだけ。
もう、全部分からない。
私がヤマトに向けるこの感情も、ヤマトが、何を考えているのかも。
でも、あの夜のヤマトがくれた熱は忘れることができなくて、
その熱を思い出すたびに、あの夜のことも思い出して自分を慰めて。
馬鹿だ。私。
あの金剛石の瞳に、私だけ映ればいいのに。
終